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執筆者の写真ふじおかんたろう

2020/自然の中にいて

更新日:2020年4月29日


明けましておめでとうごさいます。

今年もどうぞよろしくお願い致します。

新年のご挨拶から、新年の抱負などと続きそうなところですが、他愛ない話を。

年明け、初日の出を見るために、酔いどれの身体のままフラフラと御嶽山へ。日の入りにはギリギリ間に合わなかったものの、登ったばかりの太陽を拝み、初詣。そして帰省。

自然の中にいると、はじめは2日酔いでボンヤリとしていた意識が、だんだんとスッと落ち着いてくる。

僕は自然の中で、それをボンヤリと眺めるのが好きだ。

そこには自然への観察も含まれてはいるけれど、観察だけではなく、ただボーっとする。

色々な感覚がそっと芽吹く感じ。

目に色々な景色が映る。

木々が細かく揺れるのが見える。

葉の1枚1枚が細かく、おしゃべりするように揺れる。新芽は赤い。古い枝より、しなやかで、ツルツルとしている。

木々が風とおしゃべり。

大木の根は、土が流れ剥き出しになっている。

あの20mの身体を支える根はどのぐらいの長さがあるのだろう。いつも不思議に思う。

根の強さを思う。

根の強い役者になりたいものだ、人になりたいものだと思う。

根の一部は死んでいる、けれど木は生きている。

木々の葉、緑、茶、真っ青なおろしたての青空のコントラスト。

鴉が「チャッチャチャッチャ」音を立てながら歩く。なんだか随分と楽しそうだ。いいことでもあったのだろう。

自然が好きだ、花が好きだというと、老人のような扱いを受ける。イジられる。特に若い頃は。

昔から、あーんまり僕の根っこは変わってないのね、というようなことを再確認する。

中学生になると、周りは流行を気にしだす。特に女子。男子も急いで準備をはじめる。

僕はその様子がなんだか苦手だった。寂しい気持ちになった。みんなもう林で梅の枝を片手に遊ばなくなるのだ。帰り道に崖を登ったり降りたりしなくなるのだ。

そのまんまの何の飾りもない状態が好きだったのになあ、と思っていた。

と、いうことを思い出す、というか、今ようやく言語化している気もする。当時は何となくイヤだったのだ。

とは言え、僕だって、だいたいの流行にオズオズと触れ、シャーペンだって買ったし、ゲームもしたし、CDやMDを買ったりした。流行りの音楽を聴いた。財布を紐でベルトのとこにくっ付けたりした。

10代の頃は女性の化粧が苦手で、すっぴんが、何より好きだったけれど、今はお化粧も大好き。綺麗になって、当人の心が喜ぶならいくらでもしたらいいし、何より、本人に似合ったお化粧は美しいし心地よい。

小さいころから、自然物に人工物はかなうのか?そんなことを考えていた。人工物より自然物が圧倒的に美しいと思っていた。また、どんな人工物も時間と共に朽ちて、自然に帰って美しくなる。そう思っていたし、今も思っている。人が済まなくなって草だらけになった家屋、美しいと思うんですよ。経年劣化でボロボロに朽ちた看板。古いバス停。ペンキの剥がれた梁。

でも、今は人工物の美しさも知った。

人工物、、というか、芸術とは自然に対する人間の挑戦であり、その挑戦は可能なのだということも知った。

変わったことと変わらないこと。

変わったことなんてあるのだろうか。

けれど確実に、世界は広がった。

新しいことを知った。美しさを知った。

世界の喜び方をたくさん知った。

その上で、やっぱり自然の中に戻ると、自然の中の言葉がポロリポロリ。

そこで生まれた言葉を、今は照らいなくこうして言葉にしている。10年前なら、こんなこと書いたら、きっと周りにイジられるんだろうなとか気にしていた。

そういう意味では生きやすくなったと思う。

これは、今の時代が〜、とか多様性が〜とか連想する人もいるかも知れないけれど、正直そこはほとんど関係ないと思う。

とにかく、自然の中にいる時に生まれる、湧き水みたいな言葉が、身体が僕は心地いいのだ。

都会の喧騒の中で暮らしているし、きっとしばらくは変わらないし、仙人みたいになりたいと、今は思わない。

それでも、やっぱりたまには自然の中にいたい。「自然に帰って、気分転換〜」というより、もう少し、懐かしい場所に触れるような、自分の中の柔らかい部分を柔らかいまま風に晒していられるような。そんな心地よい場所なのだ。

青梅の自然は、豪快な自然ではない。

全体的にどこか枯れている。でもちゃんと瑞々しい。そこが無性に心地よいのだ。

自然物のように強く生きたい。

そして、前回のブログで書いたこと。

やさしい獣になりたい。

2020年どうぞよろしくお願い致します。

ハッピーに参りましょうね。

藤尾勘太郎


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