top of page

『ジュリアス・シーザー』稽古中

  • 執筆者の写真: ふじおかんたろう
    ふじおかんたろう
  • 3月10日
  • 読了時間: 6分

更新日:3月12日

avenir'e 7th create

『ジュリアス・シーザー』

 2025年3月29日(土)〜4月8日(火)

新宿眼科画廊・スペース地下


お稽古しております。


本番まであと2週間と少し。

ジリジリとあれこれ試しつつ、作品を立ち上げています。


面白くなってきております。



今から、2000年以上前のローマ帝国でおこった英雄の暗殺劇、そこに至る道程とその後の顛末を描くスリリングな政治史劇・愛憎劇!

そんな、ある意味スケールの大きなシェイクスピア作品を、俳優7名×ギャラリー空間という、極めて小さなパッケージで上演します。


個人的には、このパッケージの小ささ、とても興味深いです。

俳優の身体に起こっていることが、すぐにお客さんに伝わってしまう距離感。

ドキドキしますね。


「ギャラリー空間が、一瞬で2000年前のローマになった!?演劇って、、すごい!」


みたいな上演には、なりません。

(いや、それができたら、それはそれですごいですが)


小劇場を見慣れている方、眼科画廊にすでに足を運ばれたことのある方はイメージがつきやすいかも知れませんが、今回の上演は、打ちっぱなしの壁とパイプ椅子だけが並ぶシンプルな地下空間でのローマ史劇です。(眼科画廊がはじめての方、目医者さんが目印のギャラリーではないです。僕が把握する限り。)


俳優がいる舞台と客席も地続きです。



この上演は、

「今の私たちからはじめる『ジュリアス・シーザー』」

なのではないかと、僕は考えています。


2025年から2069年前の傷を見つめる

チラシの裏には、そんなコピーが書いてあります。


「暗殺」は、遠い昔や物語の中の出来事ではなく、2025年現在、僕たちの関わる世界にも存在していますし、「傷」や「痛み」が世の中からなくなることもなければ、裁いたり裁かれたりすることが今後世界からなくなることもないのだと思います。


これは、最近読んでいる本、「モラル 善悪と道徳の人類史」(ハンノ・ザウアー著 講談社)を読んでいて学んだのですが、人類は処刑や懲罰を獲得したことによって、協調性を著しく進化させたそうです。へー!

まあ、「へー」としかリアクションしようがないかもですが、僕も「へー」と思って、書きたくなってしまったのでつい。


現代は、「痛み」や「傷」に、とても多くのアンテナがはられた時代だと思います。誰かの「傷」は癒えるのか、「傷」つけた者はいつ許されるのか、あるいは許されないのか。「傷」ついた者は、誰かを「傷」つけても許されるのか、許されないとしたら「傷」ついたものは、どうしたらいいのか。


このお芝居を観たからといって答えは出ないですが、また、このお芝居に参加しているからといって、僕もまた答えを得ないですが、どうにもリンクする点の多い物語です。

作品がもつスリリングな面白さを楽しみつつ、2025年の「痛み」や「傷」も作品と切り離さずに、ぶらさげたまま舞台に上がれたらと思っています。


今回、僕は宣伝美術も担当しています。

フライヤーのテーマは「傷」です。

もう少し言えば、「傷と向き合う(あるいは逃れられない)」



色々と書きましたが、上演自体はあくまでも、シェイクスピアの書いた物語に対して、かなり真っ向から挑んでいます。(一部省略あり。)

あくまでもローマはローマ、シェイクスピア独特の台詞回しももちろん健在。そして、藤尾勘太郎はアントニーです。


藤尾は、アントニー。

こじんまりしたギャラリー空間で、1メートル先の、手を伸ばせば触れられるような距離にいる演者の藤尾に、「僕は、ローマ人のアントニーです」と言われても、「いや、お前日本人の藤尾じゃないか」って、なるかもしれません。僕は、なる気がします。

けれど、それでいいと思うし、「アントニー役の藤尾」でよいとも思っています。


どうしても、演劇の嘘と現実の本当が混ざり合ってしまう空間。

それでも、演劇の嘘も「本当」だと感じられる時間が、ギャラリーに、きっと生まれると思います。どうかそんな時間をお楽しみいただければ幸いです。


メインディレクター(演出)のホリユウキ氏は


「リハーサルされるジュリアス・シーザー」


と稽古場で少なくとも2回ぐらい言っていました。観劇のヒントになるかも知れません。あるいは創作のヒントなのかも知れませんし、もしくは本番では全然関係なくなっているかも知れません。でも悪くない響きですね。リハーサルされるジュリアス・シーザー。リハーサルという言葉の、「嘘」と「本当」どちらも併せ持ってしまっている感たるや。


あと2週間。

人生で(ほぼ)はじめてちゃんと向き合うシェイクスピア。(言葉がたいへん。)

やわらかく、今できること、挑戦をひとつずつやっていこうと思います。


なお、「『ジュリアス・シーザー』全然知らない!調べた方がよいの?」と思われる方。

どちらでもよいです!調べても楽しいし、原作読んでみてもそれはそれで。けれど、調べなくとも楽しめる、そんな演劇が個人的にはつくりたいと思っています。

あ、ただ今回用の相関図がありますから、そこをのぞいておくと、「今回」のシーザーの世界に入りやすいやもです。↓


ちなみに、タイトルロールのジュリアス・シーザー(役)、相関図では「?」になっていますね。本来シーザーは、もちろんセリフもある重要な役どころですが、今回の上演では、原作にあるシーザー登場シーンはほどんど上演しません。よって、シーザー役の俳優はおりません!


おや!?

どうなっちゃうのでしょう?


もっとも、この作品がシーザーをめぐるお話であることに変わりはないのですが。

そのあたりも、どうぞお楽しみに。


さいごに、シェイクスピア作品ではよくあることですが、「生きるか死ぬか/殺すか殺されるか」みたいなテンション、あるいは物語上のそういった現実が多分に含まれる作品ですので、基本的にはそこそこ激しい演目であるということ、改めてご承知おき下さいませ。

※すごく残酷な演出描写があったりは今のところしません。きっと今後もないです。



ひとまずここまで。

画廊の地下でお待ちしております。


元気で春を迎えましょう。


avenir'e 7th create

『ジュリアス・シーザー』

2025年3月29日(土)〜4月8日(火)

新宿眼科画廊・スペース地下


《出演者》

井上平

江藤みなみ

大熊花名実

奏夢

柴田美波

髙橋龍児 (以上、avenir'e)

藤尾勘太郎


《スタッフ》

作:w・シェイクスピア

翻訳:松岡 和子

ドラマトゥルク:瀧口 さくら

メインディレクター:ホリ ユウキ

ディレクター:池内 風


宣伝美術:藤尾 勘太郎

作曲:鹿野 亮介

撮影:菊池 博美

制作:大原 みづほ

主催:avenir'e


《チケット》

【前売】 一般 3,500円 U-22 3,000円 高校生以下 1,000円

【当日】 一般 4,000円 U-22 3,500円 高校生以下 1,000円


《チケット予約》


★ギャラリーのサイズ的に、お席が埋まりだすとすぐ完売になってしまうと思うので、お早めのご予約おすすめいたします。

★予約フォームからご予約いただくか、なんらかの手段で藤尾までご連絡いただければ、ご予約させていただきます。

 
 
 

Comentários


bottom of page